バイク乗りの夏のジレンマ - 安全性と快適さの両立
夏場のバイクライディングでは、多くのライダーが「暑さ」と「安全性」の狭間で悩みを抱えています。
気温が上昇する夏季には、熱中症のリスクを避けるために涼しい服装を選びたい一方で、万が一の転倒時に身を守るプロテクション機能も欠かせません。
この相反する要素の両立が、夏場のバイク乗りにとって大きな課題となっています。
特にレザージャケットは、優れた耐摩耗性と衝撃吸収性からバイク乗りの定番装備ですが、「夏は暑くて着られない」というイメージを持つ方も少なくありません。
実際、通常のレザージャケットをそのまま真夏に着用すると、蒸れや汗による不快感から集中力が低下し、安全運転に支障をきたす可能性もあります。
しかし、夏でも快適に着用できるレザージャケットは確かに存在します。
適切な素材選び、通気性への配慮、機能的なデザインを理解することで、夏場でも安全性と快適さを両立したライディングが可能になります。
このバランスを取ることで、長距離ツーリングでも疲労を軽減し、より充実したバイクライフを楽しむことができるのです。
夏のバイク用レザージャケット選びの鉄則
夏場のバイクライディングに最適なレザージャケットを選ぶには、いくつかの重要なポイントがあります。
結論から言えば、通気性、素材の選択、そして機能的なデザインの3つが鍵となります。
これらのポイントをしっかり押さえることで、夏場でも快適にレザージャケットを着用できるようになります。
具体的には、以下の3点を重視して選びましょう:
- パンチングレザーなど通気性に優れた素材を選ぶ
- 軽量で薄手のレザーを選び、重さと熱のこもりを軽減する
- ベンチレーション機能付きの設計を重視する
これらのポイントを意識してレザージャケットを選べば、夏場のバイク走行でも安全性を犠牲にすることなく、快適なライディングを楽しむことができます。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1. 通気性を確保する素材選び - パンチングレザーの活用

夏のバイクライディングに適したレザージャケットを選ぶ際、最も重要なポイントの一つが素材の通気性です。
通常のレザーは密度が高く、熱や湿気を逃がしにくい特性がありますが、パンチングレザーはその弱点を克服した素材として注目されています。
パンチングレザーとは、レザーに細かい穴(パンチング)を施したもので、この無数の小さな穴が空気の循環を促進し、ジャケット内部の熱と湿気を効果的に逃がします。
これにより、従来のレザージャケットでは難しかった「通気性の確保」と「プロテクション性能の維持」を両立させることが可能になります。
また、パンチングレザーを選ぶ際には、以下のポイントにも注目しましょう:
- パンチングの配置場所: 特に腋下や背中など、汗がたまりやすい部分にパンチングが施されているものが理想的です。
- パンチングの密度: 穴の大きさと数のバランスが重要で、小さな穴が適度な間隔で配置されているものが、通気性と強度のバランスに優れています。
- 部分的なパンチング: 全面パンチングではなく、プロテクションが特に必要な部分は通常のレザー、通気性が求められる部分はパンチングレザーという組み合わせも効果的です。
こうした通気性に配慮されたレザージャケットを選ぶことで、夏場の走行中も蒸れを軽減し、長時間のライディングでも快適さを維持することができます。
特に渋滞時や信号待ちなど、風の流れが少ない状況でもその効果を実感できるでしょう。
2. 軽量化と薄手素材 - 動きやすさと熱対策を両立

夏のバイクライディング用レザージャケットを選ぶ際の2つ目のポイントは、軽量で薄手の素材を選ぶことです。
レザージャケットといえば重厚なイメージがありますが、夏用には従来よりも薄く軽量なレザー素材を使用したモデルを選ぶことが重要です。
軽量化されたレザージャケットのメリットは以下の通りです:
- 体感温度の低減: 厚手のレザーに比べて熱をため込みにくく、体温上昇を抑えられます
- 運動性の向上: 軽い素材は体の動きを妨げないため、長時間のライディングでも疲労が少なくなります
- 着脱のしやすさ: 暑い日の途中休憩時など、必要に応じて簡単に脱ぎ着できる利便性があります
ただし、薄手のレザーを選ぶ際には安全性との両立が課題となります。
この点については、以下の工夫がされた製品を選ぶことがポイントです:
- 高密度の繊維構造: 薄くても強度を保つ特殊なレザー加工が施されているもの
- 戦略的な厚み分け: 転倒時に擦れやすい肘や肩などの部分は厚く、その他の部分は薄く設計されたもの
- プロテクター併用: 薄手レザーでも、取り外し可能な高性能プロテクターを組み合わせることで安全性を確保
最近のレザージャケットは、こうした技術革新により「薄くて軽い」という特性と「プロテクション性能」を両立させた製品が増えてきています。
夏用を選ぶ際には、単に薄いだけでなく、安全性への配慮も含めた総合的な視点で選ぶことが大切です。
3. ベンチレーション機能 - 風の流れをコントロール

夏のバイク用レザージャケット選びの3つ目のポイントは、効果的なベンチレーション機能の有無です。
ベンチレーションとは、ジャケットに設けられた通気口やジッパーによって空気の流れを調整できる機能のことで、走行中の体温調節に非常に効果的です。
優れたベンチレーション機能を持つレザージャケットには、以下のような特徴があります:
- 戦略的に配置されたジッパー: 胸部や背中、腕などに開閉可能なジッパーが配置されており、必要に応じて通気量を調整できます
- メッシュ素材の併用: ベンチレーション開口部の内側にはメッシュ素材が使用されており、走行中の虫や小石の侵入を防ぎながらも通気性を確保しています
- エアインテーク設計: 走行時の風を効率よく取り込み、ジャケット内部を通過させて排出する設計になっています
これらの機能を活用することで、走行速度や気温に合わせた体温調節が可能になります。
例えば、高速走行時には前面のベンチレーションを開けることで涼しい風を取り込み、低速や停車時には背面のベンチレーションを開けることで熱気を逃がすといった使い分けができます。
また、最新のレザージャケットでは、インナージャケットの着脱システムを採用しているモデルもあります。
これにより、真夏はインナーを外して最小限の構成で使用し、朝晩の涼しい時間帯ではインナーを装着するといった季節や時間帯に応じた調整が可能です。
ベンチレーション機能は、単に「穴が開いている」だけでなく、走行中の風の流れを考慮した設計になっているかどうかが重要です。
試着の際には、実際にベンチレーションを開閉してみて、操作性や効果を確認することをおすすめします。